i線用フォトレジストの新しい主戦場


TOKは1968 年に日本で初めてフォトレジストの国産化を実現してから現在まで、全ての露光技術に対応したフォトレジストを取り揃えています。各フォトレジストには形成できる回路のパターンサイズに制限があるために、半導体(LSI=大規模集積回路など)の進化(高集積化)の度に新しいフォトレジストが開発されました(図1)。
1980年代後半に登場したi線用フォトレジストは、それ以前のg線用フォトレジストでは形成することが困難な0.6μm(600nm)以下パターンをより鮮明に形成するために開発され、瞬く間に市場を席巻しました。そのi線用フォトレジストも、半導体の進化とともに解像力の限界 (>250 nm) から、微細化の最前線は、KrF用フォトレジストに置き換わっていきました。
微細化の主役は譲りましたが、i線用フォトレジストはパワー半導体と呼ばれる半導体製品の製造に活躍の場所を変えて使用されています。頭脳の様な働きをするCPUやメモリに対して、パワー半導体は高効率な電源供給(変換や整流)に使われ、筋肉の様な役割を果たす半導体として使用されており、主に自動車、鉄道といったインフラ関係、パソコン、テレビ、クーラーといった生活家電として、私たちの身近な物に多く使用されております。(図2)。

図1 フォトレジストの変遷

図1 フォトレジストの変遷

図2 半導体の種類と役割

図2 半導体の種類と役割

パワー半導体にi線用フォトレジストが適しているわけ

LSIなどの集積回路を持つ半導体 (CPUやメモリなど)は性能向上のために微細化が望まれますが、パワー半導体は別名ワイドバンドギャップ半導体とも言われており、使用される用途により部材や設計が異なります。そのため微細パターン解像性よりも耐熱性、密着性、エッチング耐性や環境耐性が強い汎用性のある材料が求められます。(図3)。加えて、半導体製造のコスト低減のためにも、最新のレジストより安価である点もi 線用フォトレジストが選ばれる理由の一つとなります。

図3 パワー半導体には太い回路幅が必要

図3 パワー半導体には太い回路幅が必要

自動車の電動化 や自動運転をはじめ、loT、5Gなどの通信機器用途、ファクトリーオートメーション(工場における生産工程の自動化を図るシステム)などの、社会をより便利に快適にする技術が登場しておりますが、電力消費を抑えるための技術として、パワー半導体の果たす役割は重要であり、今後もパワー半導体市場は大きく拡大していくと見込まれています。

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