真空環境下でウエハにアッシングなどの処理を行う装置には、処理室までウエハを搬送する形態として大気搬送方式と真空搬送方式があります。
大気搬送方式は、構造が簡単なために価格を安く設定できるメリットはありますが、処理室にウエハが入った後、処理室を真空状態にするのに一定の時間が必要となり、スループットが低くなってしまうデメリットが あります。また、真空搬送方式は、スループットは高くなりますが、装置が 高価となり、処理終了後のウエハカセットを取り出すため、大気圧に戻 す時間が必要となります。そこで、処理室を常に真空に保ちながらウエハカセットを大気圧環境とし、スループットは落とさないという、いわばハイ ブリット型を実現したのが本特許技術の装置です。この方式は、顧客の ウエハカセット自動搬送機構との親和性が高く、使い勝手もよいことが受け、注目を浴びました。
開発当時は競合他社の装置や技術の進化等により、それまで販売 が好調であった当社のアッシング装置の売上に陰りが見え始め、早急に新装置を市場へ投入する必要がありました。
新装置の開発に際し、営業、開発、製造など様々な部署から人が集まり、新装置のコンセプト作りに没頭し、安価な装置構成とすることやトラブル防止策など、様々な課題を洗い出しました。産業機械ならではの連続使用を前提に、故障するリスクも十分考慮し、修繕の容易さを追求するため、アフターサービス部門の協力も得て議論を深めていきました。
多くの部署が集まりあらゆる角度から検討した結果、コンセプトをしっ かり練り上げることができました。この結果、技術者同士も課題認識を 共有化できたことで課題を克服し、「素性の良い*」装置が実現でき、デモ機の段階からトラブルを起こすことなく出荷することができました。
※「素性の良い」:誰もが必然性や合理性を感じられること
装置開発において、目的を達成するためにどの方法、どの形が必要 なのか、合理的なのか、いろいろな角度からアイディアを出さなければなりません。素性の良いものにたどり着けなければお客様には納得してもら えず、ましてや自分も納得できないはずです。「これは良い」と直感的に 多くの人が共感できるようなものを常に追い求めることが重要だと考えて います。
これからも装置開発に関わる人のみならず、多くの人が素性の良いものを峻別する目、技術を磨いていただき、より良い製品の開発を行っていただきたいと思います。
半導体製造工程の中で、Process2からProcess 11までの繰り返しがフォトリソグラフィ工程となります。
1.ロードロック室 | 処理室を大気に開放しないために、これと隔離して設けられた大気状態と真空状態とを繰り返す搬送室のこと。 |
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2.大気搬送方式 | ウエハカセットと処理室の間のウエハ搬送を大気圧下で行う搬送方式のこと。処理室は都度真空と大気状態を繰り返す。 |
3.真空搬送方式 | ウエハカセットごと装置全体を真空にしたのちに真空中で搬送と処理を行い、大気圧に戻してからウエハカセットを取り出す方法。 |
4.スループット | 単位時間あたりに処理できる装置の性能 |
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