微細加工技術の最前線と半導体市場以外への応用例

はじめに
現代社会を支えるスマートフォンやパソコン、自動車、医療など、様々な場所で使われている電子機器の発展は、「微細加工技術」の進化なくしては語れません。特に半導体分野における微細加工技術の貢献は多大ですが、近年ではその応用範囲が半導体以外の用途にも広がりを見せています。本コラムでは、微細加工技術の基礎から最新動向、そして東京応化工業の材料ソリューションを通じて、その可能性を分かりやすく解説します。
微細加工技術とは?
微細加工技術とは、1マイクロメートル(µm)や1ナノメートル(nm)レベルの微細な構造を材料に作り出す技術です。髪の毛の太さよりもはるかに小さい世界で、精密な加工を実現します。
微細加工技術には、「金属、ガラス、樹脂などの基材に微細な加工を施す技術」と「基材の上に材料を積層し材料そのもので微細構造を形成する技術」が含まれます。
微細加工技術の基礎と最新動向
微細加工技術は、従来の機械加工では不可能な微細構造や複雑構造を実現し、様々なデバイスの機能向上、小型化に貢献しています。以下に、機械加工を除く代表的な微細加工技術を紹介します。
技術 | 説明 | 応用例 |
---|---|---|
フォトリソグラフィ | 感光性樹脂(フォトレジスト)に光を照射し、選択的に現像することでパターンを形成する技術。半導体製造の中核技術であり、高精度な微細加工を実現します。 | 半導体、半導体パッケージ、光学部品、センサー |
ナノインプリント | ナノスケールの凹凸を持つモールドを材料に押し付けて転写する技術。単純なプロセスで高解像度のパターンを大量生産できること、複雑な微細パターンの一括形成や大面積処理などが特長です。 | 回折格子、導波路、センサー |
3Dプリンティング | 材料を積層して三次元構造を造形する技術。複雑な三次元構造の形成や試作品の作成に適しています。 | 医療用カスタムインプラント、試作品の作成 |
レーザー加工 | レーザーを用いて材料を加工する技術。高精度かつ高速な加工が可能であり、微細穴あけや表面改質などに利用されます。 | 微細穴あけ、表面改質 |
これらの技術革新により、従来よりも更に微細構造や複雑な構造の形成が可能となり、新たなデバイスの開発が加速しています。
様々な分野への応用例
微細加工技術は、様々な分野で応用されています。代表的な例を以下に示します。
分野 | 説明 | 応用例 |
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MEMS/NEMS | MEMS(微小電気機械システム)やNEMS(超微小電気機械システム)は、微細な機械と電子回路を組み合わせた技術です。例えば、加速度センサーはスマホや車のエアバッグなどに使われています。 | 加速度センサー、マイクロフォン、インクジェットヘッド、高周波フィルタ、マイクロミラー |
バイオチップ | バイオチップは、DNAや細胞などの生体分子を分析するための小さなチップです。病気の診断や薬の効果を調べるのに役立ちます。例えば、DNAチップはウイルスの病態解明に用いられることもあります。 | DNAチップ、マイクロアレイ、Lab-on-a-chip、Organ-on-a-chip、DNAコンピューター |
バイオミメティクス | 生物の構造や機能を模倣し活用することで、新しい技術開発やものづくりをする技術分野のことをいいます。例えば、ハスの葉の表面の細かい凹凸構造を模して撥水性を付与したヨーグルトのふたが有名です。 | 撥水性表面(ハスの葉)、接着性表面(ヤモリの足)、自己修復材料 |
東京応化工業は、長年培ってきた微細加工・高純度化技術をコアテクノロジーとして、お客様のニーズに合わせたソリューションを提供しています。
例えば、高機能フォトレジストや高純度薬品は、高精度な微細加工を実現するために不可欠です。
また、お客様のデバイス開発をサポートするため、構造体形成材料(感光性永久膜、自己組織化材料、ナノインプリント材料など)と表面処理材料(密着性向上材料、親水コーティング材料など)、多孔質フィルムなどの組み合わせ提案も行っています。
今後の微細加工技術の発展と可能性
今後の微細加工技術は、更なる微細化、高機能化、ハイスループット化などが求められます。また、異種材料の集積化や、生物との融合など、新たな技術の開発も期待されています。これらの技術革新により、医療、環境、エネルギーなどの分野で、革新的なデバイスが誕生する可能性を秘めています。
微細加工技術は、現代社会を支える重要な基盤技術です。東京応化工業は、最先端の材料と技術を提供することで、社会の進歩に貢献していきます。